休日の夕方。誰にも予定を合わせず、好きなものを食べて、見たい動画を見ている。静かな部屋で「やっぱり一人は楽」とほっとする。
けれど、友人からパートナーの話を聞いたときや、ふと誰かと気持ちを分かち合いたくなったときには、「このままでいいんかな」と心が揺れる。マッチングアプリを開いてみても、やり取りを始める前から少し疲れてしまい、そっと閉じる。
恋愛したいのか、したくないのか。自分のことなのに、よく分からない。
そんな状態が続くと、「私は面倒な人なんかもしれへん」「ほんまは、恋愛から逃げてるだけなんちゃうやろか」と、自分を疑いたくなることがあります。
「どちらかに決められない」のが、今の本音かもしれない
誰かと深くつながりたい気持ちと、自分のペースを守りたい気持ちは、反対方向に見えます。でも、人の中に相反する思いが同時にあることは、不自然ではありません。
恋愛には、安心や喜びだけでなく、相手に合わせること、気持ちを伝えること、傷つく可能性を引き受けることも含まれます。これまで誰かとの関係で無理をした経験があれば、心が慎重になるのも当然です。
だから、今すぐ「恋愛する人」「一人で生きる人」のどちらかに自分を決めなくてもよいのだと思います。まず確かめたいのは、恋愛をしたいかどうかよりも、自分は恋愛の何を望み、何を負担に感じているのかということです。
本音が分からないのは、意志が弱いからではなく、
自分の中に複数の本音があるからかもしれません。
本音は、いつも一つとは限らない
「誰かと一緒にいたい」と思った少し後に、「やっぱり一人でいたい」と感じる。さらに、その奥には「また傷つくんは怖い」という気持ちもある。どれが本当なのか分からなくなるかもしれませんが、一つだけが本音で、ほかは間違いというわけではありません。
人とつながりたい気持ちも、自分のままでいたい気持ちも、自分を守りたい気持ちも、そのときどきに確かにあるものです。気持ちは一枚の紙のように平らではなく、いくつもの思いが重なっています。
ところが、「恋愛したいん? したくないん?」と一つの答えを求めると、その重なりが見えにくくなります。恋愛したいと答えれば、一人でいたい気持ちを否定することになり、恋愛したくないと答えれば、誰かを求める気持ちが嘘になるように感じてしまうからです。
まずは答えを決めるのではなく、今ある気持ちを混ぜたままにせず、一つずつ見ていく。それだけでも、「自分でも分からない」という迷いは、少し輪郭を持ち始めます。
「恋愛したい?」を、三つの問いに分けてみる
大きな問いに答えが出ないときは、もう少し小さく分けてみると、自分の気持ちを捉えやすくなります。
恋愛に、何を望んでいますか?
安心して話せる相手がほしい。誰かを大切にしたい。ときめきを感じたい。周囲に恋人がいるからではなく、自分が恋愛の中で得たいものを考えてみます。
恋愛の、何にためらっていますか?
期待して傷つくこと。相手の気持ちが分からなくなること。うまくいかなかったときに自分を責めてしまうこと。ためらいの中身が分かると、「恋愛したくない」という一言では見えなかった気持ちが見えてきます。
今は、どの気持ちを大切にしたいですか?
これは、これから先ずっと一人でいるか、今すぐ恋愛を始めるかを決める問いではありません。今の自分が、誰かと出会うことへ少し心を開きたいのか、それとも結論を急がずにいたいのかを確かめる問いです。
どの気持ちも大切だから、迷う
誰かとつながりたい。一人でいたい。傷つきたくない。それぞれの気持ちは、違う方向を向いているように見えても、どれかを無理に消す必要はありません。
誰かを求める気持ちだけを本音にすると、慎重になっている自分を置き去りにしてしまいます。反対に、怖さだけを答えにすると、本当は誰かと関わってみたい気持ちまで閉じ込めることになります。
大切なのは、正しい本音を一つ選ぶことではなく、「私は誰かとつながりたい気持ちもある」「でも、こんなことが怖い」「今は一人でいたい気持ちもある」と、それぞれを分けて認めることです。
そうして眺めてみると、今すぐ恋愛するかどうかとは別に、今の自分が何を望み、何に立ち止まっているのかが見えやすくなります。今日出した答えが、ずっと変わらない必要もありません。
「決められない自分」を責める代わりに、いくつもの本音がある自分の声を、一つずつ聞いてみる。今のあなたに必要なのは、二択の答えより、そこから始めることなのかもしれません。
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