離婚してから、もう一度誰かを好きになりたいと思うまでには、時間がかかることがあります。
以前の相手への気持ちが残っているからとは限りません。離婚によって変わった生活を立て直し、自分なりの日常を取り戻すだけで精いっぱいの時期もあります。
ようやく少し前を向けるようになり、「また誰かと出会えたら」と思い始める。それでも、実際に気になる人が現れると、うれしさと一緒に怖さが出てきます。
また同じことになってしもたら、どうしよう。
前の離婚から学んだつもりやけど、ほんまに今度は大丈夫やろか。
一度、結婚が終わる経験をしたからこそ、新しい恋愛に慎重になることがあります。
離婚は、予定していた人生には入っていなかった
結婚するときから、いつか離婚するつもりでいる人は、ほとんどいないでしょう。
どのような形の結婚であっても、始めるときには、これから二人でやっていくことを考えています。意見がぶつかることはあっても、離婚が自分の現実になるとは思っていなかった人も多いはずです。
だから離婚後は、相手との別れだけでなく、自分が思い描いていた人生まで失ったように感じることがあります。
結婚生活が終わった。
自分が選んだ相手と、最後まで一緒にいられなかった。
その事実を、自分の人生における失敗のように受け取ってしまうこともあります。
私自身、最初の離婚をしたときは、「離婚した人」になったことが、人生の落伍者になったように感じられました。誰にも知られたくないと思い、自分から話したい経歴ではありませんでした。
離婚歴のある人が珍しくないと頭では分かっていても、自分のこととなると、簡単には割り切れなかったのです。
「離婚歴のある私」は、どう見られるのだろう
もう一度誰かと出会いたいと思ったとき、離婚歴をいつ伝えるか、相手がどう受け取るかが気になることがあります。
離婚した理由を詳しく説明しなければ、何か問題がある人だと思われるかもしれない。反対に、細かく話しすぎれば、以前の結婚を引きずっていると思われるかもしれない。
まだ相手との距離が近くない段階では、どこまで話せばよいのか迷います。
私も、再婚を考え始めた頃、出会いの場で気になる人ができたことがありました。しかし相手からは断られ、あとになって、私に離婚歴があることも理由の一つだったと知りました。
そのときは、やはりショックでした。
自分の性格や、実際に話したときの印象だけではなく、「離婚したことがある人」という経歴で判断されたように感じたからです。
その場を主催していた人からは、「離婚歴だけで決める人なら、早く分かってよかった」と言われました。
そう言われて少し救われた一方で、それだけですぐに平気になれたわけではありませんでした。自分の離婚歴は、新しい相手から見れば、やはり気になるものなのだと思ったからです。
ただ、離婚歴をどう受け取るかは、相手の価値観でもあります。
離婚した人には必ず問題があると考える人もいれば、何があったのか、その経験を今どう受け止めているのかを知ろうとする人もいます。
誰かに選ばれなかったことと、自分にもう誰かと幸せになる資格がないことは、同じではありません。
もう一度好きになると、失う怖さも戻ってくる
離婚後、一人で過ごす時間が長くなると、生活は少しずつ整っていきます。
誰かの帰りを待たなくてもよい。相手の機嫌に心を揺らされることもない。自分の予定を、自分の都合で決められる。
寂しさがまったくないわけではなくても、一人でいる安心を覚えていきます。
そこへ新しく好きな人が現れると、止まっていたものが再び動き始めます。連絡が来ればうれしくなり、次に会える日を楽しみにする。相手が自分をどう思っているのかも気になります。
その一方で、また誰かを大切にするほど、失う可能性も生まれます。
結婚する前には、離婚したあとの痛みを具体的には知りませんでした。しかし一度経験したあとは、別れることになった場合の大変さまで想像できます。
一緒に暮らしていた家をどうするのか。共有していたものをどう分けるのか。周囲へ何と話すのか。何より、二人で描いていた未来を、もう一度一人分に作り直すこと。
もう一度誰かを好きになることは、その可能性まで再び引き受けることのように感じられます。
「今度こそ失敗しいひん」と力が入りすぎる
前の結婚で、自分にも直すべきところがあったと思っている人ほど、次の恋愛では失敗を繰り返すまいとします。
今度は相手の話をきちんと聞こう。感情的にならないようにしよう。前と同じことでぶつからないようにしよう。
その思いは、以前の経験を無駄にしたくないという気持ちから生まれています。
けれど、「今度こそ」と力が入りすぎると、新しい相手を見ているつもりで、前の結婚を見続けてしまうことがあります。
少し意見が違っただけで、以前と同じことが始まるのではないかと身構える。相手が不機嫌そうに見えれば、また自分が何か間違えたのではないかと焦る。
前は自分の意見を通しすぎたから、今度は何でも相手に合わせよう。前は我慢しすぎたから、今度は少しでも嫌なことがあれば、すぐに伝えよう。
過去と反対の行動を選ぶことに夢中になると、目の前の相手に合った向き合い方が見えにくくなることもあります。
学んだことを生かそうとするのは大切です。ただ、前回と違う行動をすれば、必ずうまくいくわけではありません。
今、目の前にいるのは以前の相手ではなく、別の一人の人です。そして自分自身も、離婚を経験する前とまったく同じではありません。
離婚から何を学んだかを、証明しなくてもいい
離婚後に新しい恋愛を始めると、「次は成功させなければ」と思うことがあります。
もしまた別れることになれば、何も学んでいなかったことになる。自分は結局、誰とも一緒にいられへん人なんちゃうやろか。
そんなふうに、次の恋愛を自分の成長を証明する場にしてしまうことがあります。
けれど、新しい相手との間で起きることは、過去の離婚に対する試験ではありません。
前の結婚から多くを学んでいても、すれ違うことはあります。慎重に相手を選んでも、付き合ってから初めて分かることもあります。
大切なのは、「もう二度と失敗しない自分」になることではなく、すれ違ったときに、以前とは違う向き合い方ができるかどうかです。
分からないことを分からないままにせず、相手に尋ねる。嫌われたくないからと我慢を重ねず、自分の気持ちを伝える。相手の言葉を、過去の相手の言葉と同じ意味だと決めつけない。
そのような小さな違いは、「今度こそ絶対にうまくいかせる」と力むよりも、二人でやっていくうえで役に立つことがあります。
離婚したことは、次の恋愛の欠点ではない
離婚した経験を、無理に前向きなものへ言い換える必要はありません。
今でも思い出したくないことがあるかもしれません。もっと違うやり方があったのではないかと、後悔が残っていることもあるでしょう。
それでも、離婚したという一つの事実だけで、その人のすべてが決まるわけではありません。
離婚歴があるからこそ、結婚生活の現実を知っている部分もあります。好きという気持ちだけでは一緒に暮らせないことや、言わなくても分かるはずと思っていたことが、実際には伝わらないことも知っています。
それは、新しい恋愛を難しくするだけの荷物ではありません。
過去の経験を持っている今の自分だからこそ、以前とは違う形で相手を見られることもあります。
相手に離婚歴をどう思われるかは、自分だけでは決められません。けれど、自分自身が離婚した自分を「選ばれにくい人」「もう失敗できない人」と決めてしまう必要はありません。
怖さがなくなってから、好きになるわけではない
もう一度誰かを好きになるのが怖いとき、まだ恋愛を始める準備ができていないように感じるかもしれません。
けれど、怖さがすべてなくなり、自信を取り戻してから人を好きになるとは限りません。
また同じことになったらどうしようと思いながら、それでもその人に会いたいと感じる。自分は大丈夫だろうかと迷いながら、少しずつ相手を知っていく。
怖さがあることと、誰かを好きになれないことは同じではありません。
離婚前の自分に戻る必要もありません。何も知らなかった頃のように、迷いなく恋愛へ進めなくてもよいのです。
一度、二人でやっていくことの難しさを知った今の自分で、目の前の相手と向き合っていく。
以前の離婚が、新しい恋愛の結末を決めるわけではありません。
もう一度誰かを好きになるときに必要なのは、「今度こそ絶対に失敗しない」という確信ではなく、怖さを抱えたままでも、この人のことをもう少し知ってみたいと思えることなのかもしれません。
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迷っている方へ
離婚後に一人の生活が整うほど、もう一度誰かと暮らすことに迷う場合があります。一人でいる安心と、将来への気持ちが同時にあるときのことを、別の記事で考えています。
一人は楽。でも、このままずっと一人なのは怖い